検索クエリから考えるSEO対策の本質

突然ですが、みなさまは「99.9 -刑事専門弁護士-」というテレビドラマをご存じですか?
TBS系列で放送されたリーガルエンターテインメントドラマで、嵐の松本潤さん演じる型破りな刑事専門弁護士・深山大翔が、“99.9%有罪”とされる日本の刑事裁判において、残り0.1%の無罪の可能性を徹底的に追求する姿を描いています。
そして、この物語を一層魅力的にしているのが、香川照之さん演じる勝ちにこだわるエリート弁護士・佐田篤弘の存在。冷静で現実主義的な佐田と、常識にとらわれず「事実」を追求していく深山――この2人のテンポの良い掛け合い、法廷での緊迫した駆け引き、時折差し込まれるコミカルな演出。すべてが絶妙に絡み合い、筆者がシーズン1・2ともに何回も繰り返し観るほど大好きな作品です。
それほど好きなドラマでしたが、放送から何年も経ったつい最近になって、シーズン2の第5話が、実際に起きた「御殿場事件」をモデルにしていることを知りました。ドラマでなければあり得ないと思っていた展開の事件が実在しているだけでも驚きましたが、現実ではまさかの有罪判決。今までエンタメとして楽しんでいたエピソードが、実際の悲劇の上に構成されていたと知り、ドラマで無罪判決にした結末を深く考えさせられました。
検索から生まれる偶然の発見
興味深いのは、私がこの事実を知ったきっかけが、ドラマのキャストを検索していた際に偶然見つけた記事だったことです。「99.9 シーズン2 5話 キャスト」といった、全然関連しない検索ワードから実話であることを知ったのですが、このドラマがなければ、私はきっと御殿場事件のことを知らないままでした。
この体験は、検索クエリの持つ予期せぬ力を象徴しています。一つの検索から始まった情報収集が、思いもよらない発見へと導かれる――これは、インターネット上で日常的に起こっている現象であり、同時にSEO対策を考える上で重要な視点であると考えます。
検索行動の複雑さと企業の課題
企業のWebサイトでも、予期せぬ検索経路からの流入が数多く発生しています。弊社が手がけるホームページ制作の現場でも、アクセス解析を行うと、事前に想定していたキーワード以外からの流入が珍しくありません。
一方で、多角的にサービス展開している企業に共通する課題も見えてきます。主力の事業は業界内で高い評価を得ているものの、同時に展開している他のサービスについては、長年取引のある顧客からも「そちらでもそんなサービスを提供されているんですね」と驚かれることが多いのです。
優れた技術力と多様なサービス展開を行っているにも関わらず、それぞれが独立した事業として認知され、本来生み出せるはずのシナジー効果を十分に発揮できていないケースが少なくありません。
これはまさに、「ユーザーがどのような検索を通じて、どんな情報に辿り着くか」という検索行動の多様性と予測不能性を物語っています。筆者がドラマのキャストを調べていたつもりが、社会問題の存在を知るに至ったように、ユーザーは必ずしも「答え」を求めて検索しているとは限らず、“きっかけ”を検索している場合もあります。
このように検索行動は、企業側が思い描く導線や想定とは異なるルートでユーザーと出会う可能性を秘めています。だからこそ、SEO対策において重要なのは、「狙ったキーワードで上位表示させること」だけではなく、「多様な検索経路に対応できるコンテンツを用意し、偶然の発見にもしっかり応えられる設計」にあると考えています。
検索意図の奥にある真のニーズ
検索クエリには、表面的なキーワードの奥に隠されたユーザーの本質的な課題や期待が存在します。「ホームページ制作 費用」という検索は、単に価格を知りたいだけではなく、「予算内で効果的なWebサイトを作りたい」「信頼できる制作会社を見つけたい」「制作後の運用支援も相談したい」といった複合的な課題があります。医療機関が「医療DX システム導入」と検索する場合も同様に、実際には「スタッフの負担軽減」や「業務効率化」「患者対応の質向上」など、多角的な目的があると想定されます。
このように、ユーザーの関心は多層的で、一つのキーワードから広がりを持っています。検索意図に応えるには、単に技術的な説明を並べるのではなく、ユーザーの業種や課題に寄り添ったコンテンツ設計が重要です。
業界理解に基づいたSEO戦略と改善
ユーザーの潜在的なニーズに応えるためには、業界特有の課題への深い理解が不可欠です。医療業界であれば、医療法の制約や個人情報保護、製造業であれば技術スペックや実績紹介のニーズなど、業界特性を踏まえた構成でこそ、ユーザーの信頼が得られます。
また、SEO対策は一度実施すれば終わりではありません。検索エンジンのアルゴリズム、ユーザーの行動、競合サイトの変化など、外部要因によって順位や流入傾向は日々変化します。そのため、定期的な分析と改善が重要です。アクセス解析を通じて、実際に成果につながるクエリを洗い出し、コンテンツを最適化していくことが成果への近道です。
まとめ:検索の向こうにいる誰かに応える
筆者が「99.9」のキャスト検索から社会問題を知ったように、検索クエリは、時に私たちの価値観や知識を大きく広げるきっかけになります。SEO対策の本質とは、こうした“気づき”を支える情報との出会いを提供することではないでしょうか。SEOは「検索エンジン向けの施策」ではなく、「ユーザー中心の設計」を通じて自然に評価される仕組みへと進化しています。検索の裏にあるユーザーの問いや想いに真摯に応える姿勢こそが、長期的に選ばれるWebサイトづくりに欠かせない視点だと考えています。
メックコミュニケーションズでは、Webサイト制作、Webシステム開発、医療DXなどのお手伝いを承っております。とりあえず話を聞いてみたいという方もお気軽にご相談ください。